2008年06月29日

夏越の祓と水無月



小雨降る中、東山三条で集合し、さあっ出発!
雨が降ってもらくたびの散歩は決行です(笑)。



まずは 合槌稲荷 へ。
神宮道交差点の三条通り沿いに、朱色の小さな鳥居が並んでいます。
その昔、この辺りには刀鍛治が多く住んだと伝えられています。
中でも名刀匠として知られた三条小鍛治宗近が住んでいたとも。
その宗近が名刀を打った際に、合槌を打った稲荷の神霊を
ここに祀ったのがこのお稲荷さんの始まりだそうです。

小さな鳥居が続く先には、普通のお家が……。
静かに進むとその先には、小さなお社があります。
きっとこのご近所の方々が、大切にお祀りになっているのでしょうね。
実はこの稲荷は、京都のサスペンスドラマなどによく出てくるそうです!



そこから三条通を渡り少し南へ行くと 粟田神社 の鳥居が見えてきます。
この粟田神社は、旅行安全の神として信仰されています。
また、その昔、応仁の乱で祇園祭が中断した際、こちらの粟田祭を
祇園祭の代わりにしたというすごい歴史のある神社なんです。

社殿に続く階段には、桜や紅葉の木もたくさんあり、その季節には
さぞ綺麗なんでしょうね。階段を上がると
市内を見渡せるビュースポットです。大文字の送り火もよく見えるそうです。

さあ、こちらで本日最初の「茅の輪」です。
厄除けを願って茅の輪をくぐりました。



粟田神社から東海道を通り、< strong>知恩院 に向かいます。
知恩院に到着するやここで大雨!思わず国宝の三門で雨宿りです(笑)。
この日、御影堂では大きな法要があり各自でお参りをしました。

その後、国内最大の大鐘楼へ。初めて見ましたが
あまりの大きさに圧倒されました!大晦日にこの鐘の音が響き渡るのを、
この目で見たいなと思いました。

この大鐘楼を抜けて、お隣にある 安養寺 へ。
こちらは比叡山で修行を終えた法然上人がここに吉水草庵を結んで
浄土念仏を唱えられました。
その後、鎌倉時代に草庵跡が慈円上人によって慈円山安養寺となりました。

今回は門前でのお話でしたが、境内から見る景色が
素晴らしとのことなので、今度ゆっくり訪れたいと思います。



次に、吉水大弁才天から長楽寺へと進みます。

雨が降ると良いこともあります。
吉水大弁才天の湧き水辺りの苔の色がとても鮮やかで・・・
長楽寺参道の紫陽花は雨で潤って活き活きとしています!



この辺りが円山公園の一番奥になるようで、公園を抜けて
八坂神社に到着。ここで2つ目の芽の輪くぐりです。

神社ではちょうど祇園祭・大舩鉾の奉納囃子が行われていました。
お囃子を聞くと、もうすぐお祭りやなぁ~と、京都の夏気分です。

八坂神社から東大路を渡り、安井金毘羅宮への道中に
崇徳天皇御廟 があります。保元の乱で壮絶な死を迎えた崇徳天皇は
怨霊化したという伝説があります。
京都の歴史上、最も悲しい運命であったのではと言われる天皇の御廟は
賑やかな祇園街の中にひっそりと佇んでいます。
御廟を後に、少し歩くと 安井金毘羅宮 に到着。



こちらは縁切り・縁結びで知られており、「縁切り縁結び碑」
というたくさんの護符が貼られた石があります。
碑の表から裏へ穴を通って悪縁を切り、裏から表へ通って良縁を結びます。
そして、境内には縁切りや縁結びを願った絵馬が
たくさん掛かっていますが、その絵馬には言葉にできないような
ちょっと恐ろしいお願い事が書かれています。
この絵馬、読んでいるとあっという間に時間が経つほど、
興味のある内容ですよ(笑)。
こちらで、3つ目の茅の輪をくぐりました。

建仁寺を抜けて、 恵美須神社 へ。こちらは、皆さんご存知の
商売の神さんで「えべっさん」と親しまれています。
ここで最後の芽の輪をくぐります。

今日は4箇所の神社で厄払いの芽の輪をくぐりました。
神社の芽の輪のお飾りはそれぞれ異なり個性があります。

最後に、四条川端を上がった町家カフェ「AND THEN」さんで、
夏越祓のお菓子・水無月とドリンクをいただきながら、
参加者全員で楽しい一時を過ごしました。

半年間の罪・けがれを祓い清め、残りの半年を無病息災で過ごせるように
と、願う神事。これで皆さん、備えは万全ですね!
これからの半年で、きっと良いことがありますよね♪ 
雨の中、お疲れさまでした。


文/奥村成美様
  


Posted by らくたび  at 16:08Comments(0)祇園~円山エリア

2008年06月08日

隨心院・勧修寺花めぐりと山科散策



今日6月8日の「京都さんぽ」は、平安時代からの古刹である隨心院、
勧修寺をメインにした南山科散策です。
忠臣蔵の大石内蔵助ゆかりの岩屋寺も訪ねます。

直前までの天気予報は雨でしたが、晴れました。少し蒸し暑い中、
地下鉄小野駅から総勢20名で出発です。

駅名から解る様に、この辺りは古来、小野郷と呼ばれ小野妹子や
小野篁など小野氏が栄えた地であります。
今向かってます隨心院は、その小野氏の中でも一番の有名人である、
あの絶世の美女 小野小町 の屋敷跡と伝えられてます。



2、3分歩いて、大きな木の傍で立ち止まりました。
最初のチェックポイントの様です。小野小町にまつわる伝説の中で、
最も有名な話が「深草少将の百夜通い」です。

無骨で純粋な深草少将が小野小町に一目惚れをしました。

小町は「百夜通って下さるなら、貴方の人になりましょう」と応じたのでした。

その夜から、少将は深草の里から山科の小町の屋敷へ通い始めます。
そして九十九日目の雪の夜、すっかり体を弱くした深草少将は
小町の屋敷に行く途中で力尽きてしまったのでした。

悲しんだ小町は、少将が通った証に置いていった榧(かや)の実を、
少将が通った道に植えたのでした。


今私たちが見ている木が、その榧の木です。
私はこういう話が大好きです。単純に信じましょう。



5分で 隨心院 に到着です。この隨心院は遅咲きのはねずの梅で
有名なお寺で、毎年3月の最終日曜日には観梅と地元の少女らが舞う
はねず踊り を観に多くの人で賑わいます。

ところで、このはねず踊りで歌われる深草少将の話は、
上に書いたのと随分結末が違っています。

少将は九十九日目、雪がひどいのを理由に代人をたてます。
ところが小町に代人を立てたことがバレてしまい、
少将は振られてしまいます。


・・・いや少々(少将)興ざめですね。

隨心院は正暦2年(991)年、仁海僧正が建立した曼荼羅寺に始まる
真言宗のお寺で、本尊の如意輪観音や快慶作の金剛薩捶坐像などを
ゆっくり拝観する事ができました。

小野小町ゆかりの史跡も多く、化粧の時に使った井戸・化粧井戸や
多くの貴公子から送られたラブレターを埋めた文塚、そして、
老年の小町の姿を彫ったという卒塔婆小町像など、
興味深く見学しました。

それにしても、なぜあの卒塔婆小町像のような老衰像を
作ったのでしょうか? 
昔の人は小野小町をどういう風に捉えていたのでしょうか?



隨心院を後に10分ほど西へ行くと 勧修寺 です。
勧修寺は醍醐天皇が母の藤原胤子(いんし)の菩提を弔うために
昌泰3(900)年に母方の実家である宮道弥益(みやじいやます)宅に
建立したので始まりで、ここには狩場のロマンスとして、
以下の様な話が伝えられてます。

藤原冬嗣の孫で藤原高藤(たかふじ)が山科の地に鷹狩に来て
雨宿りに泊まったのが、土地の郡司である宮道弥益の屋敷でした。

ここで、高藤は弥益の娘の列子(たまこ)と一夜の契りを結びます。
6年後、再びこの地を訪れた高藤は、列子との間に可愛い女の子
(胤子)が出来ていた事を知り、列子を嫁に迎えます。
胤子は後に宇多天皇に嫁ぎ、醍醐天皇を生んだのでした。

日本版シンデレラ。寺では「玉の輿(こし)に乗る」という言葉も
ここから出たと伝えてます。

えぇ……一寸待って下さい。玉の輿の話って、
西陣の八百屋の娘の「お玉」さんが、徳川三代将軍家光の側室になり、
五代将軍綱吉の生母になった話の事じゃなかったのですか?
この山科の地にも玉の輿伝説が有ったのですね。でも何となく
「お玉」さんの方が、玉の輿という感じに合う様な気がしませんか?

先日、北野天満宮の近くの立本寺に行った際、幽霊子育飴が
売られているのにビックリしました。玉の輿伝説と同じ様に
「幽霊子育飴」の話も複数箇所に有るそうです。先入観や固定観念って
意外と心の中にしっかりと根を張っている様ですね。

また、紫式部は藤原高藤の玄孫(げんそん:ひ孫の子)にあたり、
源氏物語ゆかりの地でもあります。紫式部は列子の事をヒントにして、
明石の君の話を書いたとも言われてます。



勧修寺は花の寺として有名です。庭園は氷室池(ひむろいけ)を
中心にした池泉舟遊式庭園で梅、桜、杜若、睡蓮、蓮など
四季の花に彩られ、平安時代の趣を今に伝えております。

今日は睡蓮は今ひとつでしたが、花菖蒲が咲き誇ってました。
皆さんゆっくりと庭園の美しさを堪能されてました。



勧修寺から 岩屋寺 へは、ちょっと長い行程で黙々と歩きます。
忠臣蔵の大石内蔵助が、討ち入りの前一年余りを暮らしたのが、
岩屋寺が建つこの地です。
本堂の下段境内に結構広い隠棲宅跡が有りました。
堂内には四十七士の位牌と木像が祀られており、又内蔵助の遺品や
浅野内匠頭の肖像画も置かれてます。

風さそふ 花よりもなほ 我はまた 春の名残を いかにとやせん
―(辞世)浅野長矩 ―

じぃーんときます。案内をして下さった女性の方の説明は
大変おもしろく楽しい時間でした。
この後、大石神社に立ち寄り、最後は平安時代の武将で
征夷大将軍になった坂上田村麻呂の墓を見て椥辻駅で
解散となりました。今日廻ったお寺は、どこも伝説や縁起、
由緒などに多くの話が有り、花や庭園の美しさと相まって、
京都を学ぶ楽しさを、改めて感じた次第です。


文・写真/らくたび会員 坂田肇様
  


Posted by らくたび  at 12:24Comments(0)山科~醍醐エリア