2012年04月24日

2012年4月17日 遅咲きの桜を訪ねて 仁和寺&平野神社



4月17日(火)のらくたび京都さんぽは、遅咲きの桜を求めて歩きました。
まず最初に訪れたのは…

【 仁和寺 】 真言宗御室派の総本山です。

平安時代に創建され、宇多法皇以来、明治になるまでの長きにわたり、代々、
天皇家の皇子が住職を務めてきた格式あるお寺。大きな仁王門がその歴史と
格式を伝えるかのようにそびえています。


御所との関わりがとても強く、現在、境内にある建物の中には御所から譲り受けた
ものも。ご本尊・阿弥陀三尊像をお祀りする 金堂(こんどう) はもともとは御所の
紫宸殿(ししんでん:天皇が儀式などを行う場) であったものを慶長年間に
こちらに移築。当時の御所建築を知る上でも貴重な建築であることから国宝に
指定されています。


真言宗祖・弘法大師 をお祀りする御影堂(みえどう) 
こちらは御所の清涼殿の古材を使って建てられたものです。


そして…いよいよお待ちかねの御室桜 の見学へ!
今年は例年になく冬の寒さが長引き、桜の開花も全般的に遅れ気味…
実は御室桜も遅れていまして、前日、私が電話で聞いた時は 「3分咲き」 とのこと。
それが、それが、当日の午前中に気温もグングン上がって、この日は 「5分咲き」に!
木によっては 「満開」 になっているもの!


桜園には約200本の桜が植えられています。江戸中期にはすでに桜の観光名所に
なっていたとか!キャリア長いですね~。


御室桜は背丈が低く足元から雲が湧き立つように花を咲かせるのが特徴です。

      仁和寺や 足元よりぞ 花の雲   -春泥-


御室桜越しに見る五重塔は情緒満点~!

五重塔を支える天邪鬼 についてご案内をしていると、周囲にはたくさんの
人が集まって「どこ?どこ?」と(笑) 天邪鬼なんで「頑張れよ~」は禁句ね!

【 蓮華寺 】 

仁和寺に駐車場横にあるお寺。仁和寺には人、人、人…でしたが、こちらはとっても
静か。桜と江戸時代作の風情ある石仏を一緒にお参りできます。
参加者さまから 「仏さまも桜を楽しんではるみたいな表情やね」 とのお声が。
確かに、穏やかでいいお顔されていますね。

【 龍安寺 】

室町時代に細川勝元が妙心寺の僧を招いて創建されたお寺。
こちらはなんといっても白砂と15個の石で構成された 石庭 が世界的に有名です。

またJR東海の「そうだ 京都行こう」キャンペーンで今年の春にCM、ポスターで
紹介されていることから、堂内はこの通りの人気ぶり(^O^)/
                     ↓  ↓

白砂に桜が彩りを添えて、華やかな庭園となっていました。

秋には紅葉のトンネルとなる参道は、新緑が芽吹いていました。

龍安寺=石庭ですが、石庭だけで帰っちゃもったいない!
鏡容池の周りは散策できるようになっていて、春は桜、秋は紅葉がきれいなんです。

参加者さまからは 「こっちまで来たのは初めてやわ~」 とのお声が。
見事な桜を愛でながら、のんびりと散策しました。


最後に訪れたのは…
【 平野神社 】

もともとは奈良の宮中にお祀りされていたのですが、平安遷都とともに京都へ
「お引越し」された神社です。数ある神社でも、一緒に引っ越して来られた神社は
こちらだけ。宮中や貴族から篤く信仰され、のちに源氏・平氏の氏神としても
崇められてきました。

また、古くから桜の名所として知られ、境内は400本の桜が植えられています。
しかし!平野神社の桜が有名なのはその本数ではなく 50種類 という種類の多さ!
氏神としてして信仰された家々伝来の桜が奉納され、50種類という数の多さに
なったとか。

3月下旬の早咲きから4月下旬の遅咲きまで、桜の開花は次々とリレーされ、
約1ヵ月間楽しむことができます。

私たちが訪問した時も、様々な種類の桜が見ごろを迎えていました。






この日でもまだ「つぼみ固し」の桜もあり、 「この桜の花が咲く頃に来てみたい」、 
「桜といえば、ソメイヨシノしか知らなかったけど、こんなにいろんな種類があったんや」
などなど…のご感想をいただくことができました。

  世のなかに 絶えて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし -在原業平-
 (もし世の中に桜がなければ、「桜はいつ咲くのか」「風雨で花は散ってしまわないか」
  など、心配することはないのに…)

今年は梅の開花が約1ヶ月遅れ、私も「桜の開花はどうなる?」「京都さんぽに
間に合うのか?!」とハラハラ、ドキドキの日々を過ごしていました(笑)
加えて近年は花粉症に悩まされ、春=花粉の到来ということで、少々憂鬱な
気分もありました。

でも、やっぱり桜の花を見ると「あぁぁ~、春だ!!」と嬉しい気持ちにさせてくれます。
この日もステキな桜にたくさん出会うことができ、参加者の皆さまと「やっぱり春はいいな~」と
改めて感じた散策となりました。

皆さま、ありがとうございました。

                               案内・写真・文 / らくたび 森
                               受付・添乗 / らくたびガイド 冨田

  


Posted by らくたび  at 09:14Comments(0)金閣寺~仁和寺エリア

2008年04月20日

春の双ヶ丘ハイクと御室桜



ハナミズキが綺麗に咲いているJR花園駅前で集合!
今回は36人の参加者で、まずは 双ヶ丘(ならびがおか) をハイキング。
この双ヶ丘、車でこの辺りを通ることはあるものの
このように登れるとは知らなかったです。
増してここに古墳があるなんて、もっと驚きました。

仁和寺方面の北方向から、一の丘・二の丘・三の丘と三つの丘が
並んでいることから 「双ヶ丘」というそうです。
ちなみに一の丘(標高116m)が一番高い丘です。



「山」ではなく「丘」なので、軽い山登りと思っていたのですが……
想像よりかなりしんどい……。若村先生は、数日前にスーツ姿と革靴で
下見に来られたそうです。そのタフさ、尊敬致します(笑)。

しんどい思いをした後には、喜びもあります。山頂付近から見た景色の美しさ!
360°とは言いませんが、かなりのパノラマ!
特に仁和寺辺りは、ほんのり桜色でとても綺麗です。



心地よい汗をかいたハイキングを終え、仁和寺への道中にある
長泉寺 (ちょうせんじ)に到着。
双ヶ丘は、吉田兼好が草庵を設け徒然草を執筆した地でもあり、
暮らしていた際の井戸など史跡が昭和の初め頃まで残っていたそうです。
その後、双ヶ丘東にあるこの兼行法師ゆかりの長泉寺に史跡などが移されて、
境内には、兼好の墓と伝わる「兼好塚」があるそうです。



さあ次は、御室桜の 仁和寺 へ!
京都の「春爛漫・桜」の最後を飾る御室桜を愛でに・・・。
しかし、本日のメインイベント・御室桜は散り始めですっかり葉桜です。
残念ではありますが、これもまた自然の摂理です。
広い境内にはまだまだ満開の桜もあり、お花見気分は十分味わえます。

御室桜は背が低いのが特徴。いずれも高さが2~3m止まりなのが
「御室桜の謎」とされていたのですが、つい最近原因が判明したそうです。
高く伸びないのは根の成長に適さない粘度層の土が原因だとか。

現在の桜は江戸時代初期の植樹なので、少々勢いも衰え弱っているけれど、
今後の研究で少しでも綺麗なお花を咲かせるために守り育てていく方法を
考えておられるのでしょうね。



ここで、約1時間の自由時間になり、まずは御室御殿へ。
私は初めての御室御殿を拝見し、ちょっと興奮してます!
歴史を感じさせる清閑な佇まい。さすがは元御所! 
また今度ゆっくりと訪れたいなと思いながら、葉桜の御室桜を愛でるために
駆け足です(笑) ゆっくりと桜を楽しむ方、御室御殿を拝観する方、
それぞれ楽しいひとときを過ごした後は、
仁和寺東門のすぐ側にある 転法輪寺 と、 蓮華寺 へ向かいます。



転法輪寺(てんぽうりんじ)では、ご住職にお話を伺いました。
こちらは観光寺院ではないので、あまり一般の方は来られないそうです。
“らくたび” ならではの行程ですね。

浄土宗・転法輪寺は、1758年関通上人が開山。関通上人は、世捨派(しゃせいは)
であり、質素を旨とし念佛一筋を説いた方。
その好みの佛具(五具足)は、質素で簡素なデザインで、
関通型と言うそうです。ご本尊は7メートルもある大きな阿弥陀如来坐像。
こんなに古くて立派な仏像が観光寺院ではないお寺にあるということに、
京都の奥深さを感じます。

そしてこの大きな仏像の後ろには、もう一体このお寺の宝物の阿弥陀さんが
いらっしゃるとか・・・、確かに、可愛らしいぷくっとした仏さん。
お顔は阿弥陀さんですが、身体が子供という珍しい裸の阿弥陀如来です。
室町時代か、もしくは鎌倉時代の物だとか。
こちらは通常は秘仏として公開されていないそうです。

そして、すぐ横にある蓮華寺へ。この蓮華寺は平安時代中期に、
嵯峨広沢の池辺りに創建されましたが、何度か移転し、
昭和の初めにこの地に移ってこられたそうです。

しかし、この石仏は創建当時に木食上人が造立されたものなので、
とても古い「石造の五智如来」です。
ちょうど日が暮れ始めて、五智如来に西日が差し神々しく見えます。
仁和寺の桜は散り始めですが、こちらの桜はまだまだ満開です。
訪れる人も少なく来年の桜の穴場スポットに登録します!



御室を後にして、 妙心寺 を通って帰路JR花園駅へ向かいます。
妙心寺の境内は整然としており、仁和寺とは異なる格式のある風貌です。
こちらは通過するだけでしたが、若村先生による簡単な説明を受けました。

46の塔頭が並ぶ壮大な規模・山内一豊ゆかりの大通院・狩野探幽の
雲龍図・明智風呂などなど……。
ちょうど私は午前中にこちらを拝観していたので、
復習になったので得した気分です(笑)

今日も盛りだくさんな行程を、よく歩き、よく学び、とても充実した
京都さんぽとなりました。ありがとうございました!

この春の桜にまつわる「3つの京都さんぽ」、
それぞれ趣が異なり楽しませていただきました。
そして桜・さくらと楽しんでいるうちに、いつの間にか
新緑の季節です。山吹やツツジ、牡丹にシャクヤクと、
京都の町は美しく彩られています。
これからの京都さんぽも楽しみです!


文/らくたび会員 奥村成美様  写真/らくたび会員 鴨田一美様・坂田肇様
  


Posted by らくたび  at 17:33Comments(0)金閣寺~仁和寺エリア