2008年11月29日

赤山禅院と洛東の紅葉探訪



今にも雨が降りそう~、という雲行きの中、叡山電車出町柳駅を出発しました。
この後、小雨が降ったり止んだりのややこしい1日となります(笑)。
修学院駅からてくてく歩いて、カエデが真っ赤に色づく 赤山禅院 に到着です。



やはりここは、紅葉に包まれた参道が素晴らしいです。
しかし、結構な雨が・・・・・・。この赤山禅院は都の表鬼門である北東、
比叡山の麓にあります。赤山大明神を祀り京都の表鬼門を守護する
方除けのお寺で、拝殿の屋根の上には、厄除のお猿さんが
みんなを守ってくれています。

七福神の福禄寿のお寺でもあり、おみくじが可愛いんですよ。
境内には小さなお社がたくさんあり、神仏混合の
不思議な雰囲気があります。



次の目的地に至る道筋に、 修学院離宮 があります。
ちょうど通りがかった際は門が開いていて、そこには素晴らしく綺麗な紅葉が!
そこで急きょ写真撮影会のようになってしまいました(笑)。
中に入りたい~!っていう思いを後に、先に進むと 禅華院 という
非公開寺院があります。
元は修学院離宮・中茶屋にあったお堂を移築したお寺ということです。
山門の紅葉が美しく、とても絵になるスポットです。
中には、ひっそりと石仏が佇んでいます。



そして、次の目的地・ 鷺森神社 。またここの参道の紅葉の風景が素晴らしいこと~! 
さすが紅葉の穴場ということもあり、人は少なくて紅葉を堪能できます。
イチョウの黄色も鮮やかで、赤と黄色、そして晴れ間もでてきて、
最高の一瞬を迎えることができました。



そしていよいよ門跡寺院・ 曼殊院 です。
やはりこちらは人がいっぱいです。さすがの貫禄ですね。
門跡寺院という格式が実感出来るお庭の紅葉は見事です。
ここ に静かに座して秋への思いに耽りたいくらいですが、
ここでは難しそうです(苦)。

今回は紅葉がメインではありましたが、虎の間・大書院・小書院・庫裡
といった建築物。そして、狩野派の襖絵や、欄間・釘隠し・襖の引手など
細かいところにも、シャレた細工が施されており、今度訪れる時には
ゆっくりと拝見したいと思います。

そして外に出ると、西日が差して勅使門辺りがオレンジ色に輝いています。
ひとあじ違う紅葉の風景です。



次に訪れたのは、一乗寺の 圓光寺 。こちらのお庭「十牛の庭」は
紅葉の名所ですね。栖龍池(せいりゅうち)を中心に境内には
楓の木がたくさん植わっています。
この日はすでに散り紅葉ですが、これもまた風流で美しい。
圓光寺の元々の起こりは徳川家康が開いた学問所で、
多くの生徒が学びました。学問所と言っても学問を学ぶだけではなく、
発行物もたくさん出され、その際に最先端の活字印刷で行われた
伏見版・圓光寺版と呼ばれる当時の木活字(重文)も見られます。

境内奥に京都市内が一望できる小高い山があり、そこには
徳川家康のお墓があります。



最後は、宮本武蔵の伝説が残る 八大神社 へ。吉川英治との
「一乗寺下り松の決闘」の前にこの神社に訪れたことで有名です。
平成14年に建立された宮本武蔵ブロンズ像が公開されています。
参道には武蔵の古い写真がずらりと並んでいて、
武蔵ファン必見ではないでしょうか!

今回は、紅葉の名所・穴場を巡り、秋の風景を堪能した1日となりました。
町中の名所を離れて、洛東ののどかな小径をてくてく歩くのも良いものです。
また、今日訪れたコースを春に訪れるのもいいかもしれませんね。
今日もよく歩きましたね。みなさまお疲れさまでした!


文/らくたび会員 奥村成美様  写真/らくたび会員 鴨田一美様
  
タグ :京都紅葉


Posted by らくたび  at 12:07Comments(0)一乗寺~修学院エリア

2008年11月24日

絶景の早朝紅葉めぐり



紅葉燃える秋、京都が最高に輝く季節がやってきました。
この日のらくたび京都さんぽはいつもよりちょっと(いや、かなり?)
早起きをして、朝の8時に岡崎神社をスタートです。



最初に訪れた 岡崎神社 は、平安京の頃より朝廷に崇敬された
歴史ある神社。その後、時代の流れと共にこの辺りの土地を守る神様として
信仰されてきました。

手水所にウサギの姿(像)があるのは、昔この辺りには野ウサギが多くいたらしく
ウサギ=多産=安産の神様となったことからだそうです。



すぐお隣の 岡崎別院 は親鸞聖人が住まれた草庵跡に建てられた東本願寺の別院です。
境内には親鸞聖人が越後に流される前に姿を映されたと伝わる
「姿見の池」も残っています。
本来なら境内の見学のみのはずだったのですが、
ご住職さんのご好意で本堂に入れていただくことができました。

観光寺院ではなく現在でも道場として開かれている場所で、
清々しい朝のひとときを過ごし、「早起きはええなぁ」と実感しました。
尚、この岡崎別院、「親鸞屋敷」あるいは「岡崎御坊」と呼ばれたのですが、
本願寺のお寺はちょっと名称がややこしいのです。
別名がたくさんあるのはそれだけ人々が親鸞聖人を慕っておられた
からだと思うのですが、京都検定受験者は混乱しがち。
でも、実際の場所で親鸞聖人が住んでおられたことを聞いたことにより、
岡崎別院はちゃんとインプットされました。
やっぱりわからない時は行くのが一番ですね。



続いてすぐ近くの細い参道を通り 金戒光明寺 へと向かいました。
見晴らしがよく、交通の要所に建っていることから、
幕末には会津藩の本陣となったお寺です。
今年大ブームとなった大河ドラマの「篤姫」にも、映像にこそ
出てきませんがこのお寺も大きく関わっています。

また、ここでもう一つ忘れてはならないのが本堂前にある
「よろいかけの松」。 源平合戦(一の谷)で平敦盛を討ち取った
熊谷直実が人生の無常を感じ出家をした時、武士の象徴である
鎧を掛けた松(現在は2代目)です。

この一の谷での熊谷直実と平敦盛のやりとりは、らくたび講座や
京都さんぽで何度も聞いていますが、お玉さん(桂昌院)の
シンデレラストーリー同様、結末がわかっていても聞きたくなる
話の一つです。
境内にはそんな2人の供養塔が向かい合って並んでいました。



“京都で一番見晴らしのいい墓地”を通り抜けると 西雲院 へ到着です。
2月の節分ツアーでここを訪れた時は梅のつぼみに春の訪れを感じたのですが、
この日は大きな(ホントに大きな)柚子がたわわに実っていました。
この辺りには幕末の鳥羽・伏見の戦いで敗れた会津藩の志士のお墓が
並んでいますが、2月に来た時はあまり気に留めていませんでした。
しかし、今年は篤姫を観ていることもあって、「幕末」と聞くと
自然に耳が傾きます。こんな風に季節によって風景が異なるのを
見つけたり、時間と共に自分自身の捉え方が変わっていく事を
感じたりするって面白いですね。
次にここを訪れる時はどんなことを思うのかなぁ。



墓地が続くちょっと薄暗い道を歩いていると突然視界が鮮やかに!
裏道から 真如堂 の境内に到着していました。

赤、橙、黄、緑の見事な木々が境内を彩っています。
低く枝を差し交わす紅葉は目の高さで楽しめ、本堂や三重塔を飾る
景色はなんともきれい。わざわざ早起きをした甲斐がありました!

ここでしばらく自由行動となり、思い思いの場所で錦秋を
楽しむこととなりました。

境内には映画誕生100年を記念して今年「京都・映画誕生の碑」が
建てられたと聞いていましたので、これも忘れずにチェックです。



再集合をした後は、白川通を渡り霊鑑寺、安楽寺を外から見学し 法然院 へ。
法然院は茅葺き門と2つの白砂壇で構成された庭が人気のお寺です。
仏足石もあります。多くの方に仏教に触れてもらいたいというご住職さんの
思いから、コンサートやイベントといった新しい企画も開催されています。

また境内には著名人のお墓も多くあり、中でも知られているのが谷崎潤一郎。
『細雪』の中では四姉妹が平安神宮の枝垂桜を見に行く場面が
印象的に描かれていますが、お墓の後ろにも桜の木が植えられていました。

桜の葉が秋色に染まる哲学の道を銀閣寺方面へと歩いていくと次第に
人、人、人、、、時間は11時過ぎ、皆さんが活動を開始される頃ですが、
ここで私達の京都さんぽは終了となりました。

京都の秋といえば大寺院の絢爛豪華な紅葉であったり、
個性豊かな庭園の美であったり、世捨て人が庵を組んだ風趣であったり、
その楽しみ方は様々です。
今回の京都さんぽでは何度か足を運んでいるコースの中でのんびりと
自然を眺め、行く度に変わる風景の楽しみ方を教えていただきました。
そして「やっぱり紅葉見物は早起きがいい」と実感したさんぽでもありました。

参加者の皆さん、スタッフの皆さん、朝早くからお疲れ様でした。
来年もまた早朝にお会いしましょう!


文/らくたび会員 森明子様  写真/らくたび会員 鴨田一美様

  
タグ :京都紅葉


Posted by らくたび  at 11:47Comments(0)岡崎~吉田山エリア

2008年11月23日

紅葉の芸術 鷹峯の源光庵と洛北散策



まだ見ぬ紅葉の美しさを堪能できるとあって、大徳寺の門前に集合した
参加者の皆様の表情もいつもより楽しそうに見えます。

集合した 大徳寺 は七堂伽藍を完備。さらに塔頭を22ヶ所も有する
非常に立派な臨済宗のお寺です。
しかし、今回は金毛閣前で簡単に説明を終え足早に今宮神社へ。



今宮神社 は、平安初期に疫病を鎮めるため疫神を祀ったのに由来する神社です。
現在の社殿は明治35年に再建されましたが、風格を十分に感じることができます。

今宮神社の境内には「阿呆賢さん」という不思議な石があります。
手のひらで三度叩いて持ち上げると重くなり、次に願いを込めて
三度撫でて持ち上げ軽くなれば願いが叶うと言います。早速皆さん列を
つくって試していました。軽くなれば良いですがさてさて結果は・・・・・・



今宮神社を後にした一行は鷹峯へ向けて歩を進めます。途中、豊臣秀吉が建造した
という 御土居跡 を見学。北野天満宮付近や廬山寺にも見ることができます。
御土居は「京廻ノ堤(きょうまわりのつつみ)」とも呼ばれていたそうです。

そう言えば今年の京都さんぽでは何度か御土居を見学しているような。
これも秀吉好きの山村さんの企みでしょうか。



続いて訪れたのは しょうざん です。しょうざんは洛北の紙屋川沿いに造られた
広大な庭園です。庭園は北庭と南庭があり、一行が訪れた南庭では
紙屋川付近の紅葉の色づきが進んでおり北山杉の緑と重なって
幻想的な雰囲気でした。



しょうざんを通り抜け 源光庵 を訪れる前に 吟松寺円成寺 に寄り道です。
この2寺は観光寺院ではないので滅多に訪れることはありません。
そこを訪れるのが京都さんぽの凄いところです。

吟松寺は境内に入れませんが、坂の上からや入口から眺めることができ
十分紅葉を楽しむことができます。吟松寺では参加者全員で久々の記念撮影。



そして、いよいよ本日のメインである 源光庵 に到着です。すでに
山門の外まで人の行列が……これ程までに人が多いと思いませんでした。

源光庵の最大の見所は丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」でしょう。
悟りの窓は禅と円通を、迷いの窓は生死病死の四苦八苦を表しています。
窓の向こうには美しい庭園が広がっており、こぢんまりとした中にも
厳粛な雰囲気が漂っています。本堂には血天井と呼ばれる天井があります。
これは伏見城落城の時に鳥居元忠らが自刃した廊下の遺構で、
天井に上げてその霊を弔ったものだそうです。手や足形が
はっきりと残っています。

本日の京都さんぽは、この源光庵で終了です。解散後、各自光悦寺や
常照寺を訪れました。私は隣の常照寺を訪れました。
こちらは源光庵に比べ人が随分と少なかったです。
おかげで吉野太夫が寄進した赤門にかかる紅葉や庭園の散紅葉を
傾く夕日とともにゆっくりと堪能することができました。

今回は天気も非常によく心おきなく洛北の紅葉を楽しむ事ができました。
参加者の皆様、スタッフの皆様お疲れ様でした!!


文/らくたび会員 森田和宏様  写真/らくたび会員 鴨田一美様

  


Posted by らくたび  at 11:32Comments(0)大徳寺~鷹峯エリア

2008年11月03日

源氏物語と秋の非公開文化財を訪ねて



今年は 『源氏物語』 の存在が『紫式部日記』で確認されてから1000年の
節目の年にあたることから、源氏物語にちなんだ様々な企画が
各地で開催されてきました。
そんな千年紀に沸く源氏物語ゆかりの場所を目指して出発です。



大聖寺三時知恩寺 はどちらも皇室ゆかりの女性が入寺された
門跡尼寺です。通常は非公開となっておりますので外からの見学となりました。

外観は大寺院とは異なりとても落ち着いた雰囲気を醸し出していました。
特別に公開される時期もあるとのことですので、チャンスがあれば
ぜひ訪れてみたいものです。



報恩寺 の梵鐘は「撞かずの鐘」として京都検定テキストにも
紹介されています。西陣の織子さんと丁稚さんの揉め事から、
鐘を撞かなくなってしまった話です。
登場する人物や内容がとても具体的で、今でもその話がここに
生きている面白さがあります。

このように京都にはあちらこちらに伝説が伝わっていますが、
ハッピーエンドで終わるものだけでなく、ちょっと悲しかったり、
不気味だったりする伝説までもが大切に残されています。

物語好きの京都人の気質なのか、先人の教えを生活に取り入れる
智恵なのか・・・・・・?いずれにしても伝説が町歩きを
一層楽しくさせてくれることは間違いないでしょう。 



小川通 は表千家の不審菴、裏千家の今日庵も並ぶ風情のある通りです。
もともとこの通りには小川が流れていたことから“小川通”となりました。
百々橋の礎石があったり、報恩寺や本法寺の門前には川がないのに
橋が架かっていたりすることから川の存在が確認できます。

私事ですが、以前母とこの道を歩いている時に、小川が流れていた話を
したのですが、「ホンマ?」と信用していない(?)様子でした。
ちゃんと橋を見せれば信用してもらえたのでしょうね。
今度試してみようと思いました。



宝鏡寺 は和宮が幼少期を過ごしたお寺であることから、
NHK大河ドラマ「篤姫」の篤姫紀行でも紹介されていたお寺です。

境内には門前にある和傘屋「日吉屋」さんの傘がきれいに並べられていました。
傘を作成する中で「屋外の広い場所で干す」ということが重要な工程である為、
傘屋さんはお寺の門前に店を構え、境内を借りて日干しをされるそうです。

観光用ではありませんので、いつもいつも出会える光景ではありませんが、
出会えたら“ラッキー”と思えるので、講座で教えていただいてからは
この辺りを歩く時は運試し(?)を兼ねて覗いています。
皆さんもぜひお試し下さい。



慈受院 は秋の特別公開中でしたので、中に入って拝観しました。
藤原鎌足の伝記であり日本最古の絵巻でもある「大織冠絵巻」、
足利義輝がお寺に宛てた手紙、後桜町天皇から下賜された屏風、
狩野探幽の掛け軸などなど、さりげなく置かれていましたが、
素晴らしい寺宝を間近で見ることができました。



本法寺水火天満宮 を見た後は、いよいよ本日のテーマにちなんで
紫式部 のお墓参りです。紫式部のお墓は島津製作所さんの一角に
小野篁のお墓と並んで立っています。その並び方から一瞬「恋人同士?」
と思いますが、生きた時代が違いますのでそれはありません。

では、なぜ並んで立っているのかと言いますと、紫式部は
「源氏物語という架空のお話を書いた=嘘をついた=地獄行き」と
なっていたところ、閻魔様に仕えていた小野篁が源氏物語の人気振りを
伝え、地獄行きから逃れたという伝説があるからだそうです。

しかし、当の紫式部もフォローした小野篁も、まさか1000年後までブームが
続き、世界20カ国で翻訳がされるとは想像しなかったでしょうね。
また、このお墓の裏辺りから紫野小学校へ続く道は最近「紫式部通」と
名付けられたそうです。定着するのにもう少し時間がかかりそうですが、
京都の道は正面通や不明門通の様に定着さえすれば
その根拠が無くなっても名前は残ります。今後、紫式部通が
どのように発展していくのかを楽しみにしておきましょう。



玄武神社雲林院 を見学後、最後の目的地である 大徳寺 に到着しました。
大徳寺の住所は「紫野」であり、近くには「紫明通」も通っていることから、
ここら辺りと紫式部も何らかの関係があるのかもしれません。

しかし現在はその事実は明らかになっていません。でもそれはそれで
いいのではないかと私は思います。千年紀の今年、様々な行事が
各地で行われる中、新たな写本が確認されたり、違う解釈が
出てきたりしました。新発見を伝える新聞記事を読んでは、
1000年前と今が繋がることにワクワクしたものです。
(京都検定受験者としては非常に困るのですが) 
そんなまだまだ秘められているであろう真実の解明は、50年後、
100年後の未来の人達に楽しんでいただけばいいと思うのです。

大徳寺でこの日の京都さんぽは終了し、
あとは希望者で特別公開をしている塔頭の拝観をしました。
この日のコースは西陣から紫野と狭い範囲ながらも見所いっぱいの
楽しいさんぽとなりました。

今年の源氏物語千年紀を記念して、11月1日は「古典の日」と
制定されたそうです。古典を楽しむことが1年限りの一過性のもの
として終わることなく、今後も少しずつその魅力を深めていければ
・・・・・・と思っています。

参加者の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした!

文/らくたび会員 森明子様  写真/らくたび会員 鴨田一美様

  


Posted by らくたび  at 16:19Comments(0)西陣~北野エリア