2012年12月09日

12月1日 紙屋川に沿う紅葉 鷹峯・源光庵から北野天満宮へ

12月1日(土)のらくたび京都さんぽは、
鷹峯・源光庵から紙屋川に沿って紅葉の名所を訪ね、
北野天満宮までを散策しました。


出発地の鷹峯・源光庵前。
今年は紅葉の進みが早いのですが、まだ鷹峯でも紅葉が残ってくれました。
この日も多くの皆様にご参加いただきました。


源光庵は、丸窓血天井で知られる禅宗寺院です。
丸窓「悟りの窓」の奥には散り紅葉が敷き詰められ、
楓と入れ替わりに山茶花の花も咲いていました。



境内はまだ見頃の紅葉と散った紅葉が程良い具合で、
時雨れ模様の天気の中、日差しの強弱とともに
様々な表情を見せてくれます。



源光庵からは光悦寺の前を経て、
長坂道を下っていきます。かつては北山杉の産地と都とを結び、
氷室へとも繋がる道です。


急な坂を下りきるとそこは紙屋川沿いの道。
紙屋川は、平安時代に宮中で使う紙を作る
紙屋院という役所がこの川沿いにあったところからそう呼ばれています。


紅葉の隠れ名所の吟松寺は散り果てていましたが、
しょうざんの入り口にはまだまだ綺麗な楓が輝いていました。


山あいの道の出口には鏡石があります。
その名の通り昔は鏡のように前を通る人や馬の姿を移したそうですが、
馬が前を通ると驚いてしまうので、あえて映らないようにしたそうです。
現在はそれと言われなければ気がつかない石になっています。


そして近くには一条天皇・三条天皇火葬塚があります。
洛北にはこうした平安時代の天皇の火葬塚がいくつも眠っています。



一旦紙屋川を越えると、今度は高い土塁が現れました。
皆さんで登ってみると…


史跡・御土居の石碑が立っています。
豊臣秀吉が京都を囲んだ防壁である御土居の跡が
今でも見事に残っています。


先に進んで卵型アーチの北大路通の下をくぐり・・・



紅葉の超穴場・紙屋川児童公園へとやってきました。
この辺りから紙屋川は深い谷川となり、
高低差のある園内に立派な楓が佇んでいました。


鞍馬口通を過ぎて、氷室道を回り込むと、
花山天皇陵があります。
西国三十三ヵ所観音霊場巡りで知られる方ですね。


細い道を抜けながら、
成形された美しい御土居を過ぎ・・・


平野神社へと到着です。
桜の名所だけあって、境内にはなんと寒桜が咲いていました!
今日は紅葉狩りと花見を両方楽しめてしまいました(笑)


平野神社独特の建築について若村先生から語られます。


そして最後の目的地、北野天満宮へ。
天満宮の七不思議の一つ・筋違いの参道の突当たりにある
地主(じぬし)神社には、黄金色のイチョウの葉が降り積もっていました。


最後に本殿前でこの日は解散です。
北野天満宮にも御土居が残り、
大変見事な紅葉の名所として知られています。

例年、紙屋川が散り紅葉に覆われるころ合いで、
きっと素晴らしい光景が見られたのではないでしょうか。



今回は、窓からの風景が美しい鷹峯・源光庵を出発し、
数々の歴史紅葉の名所が隠れる紙屋川沿いを探訪し、
寒桜の咲く平野神社を経て、北野天満宮まで散策しました。
時雨れ模様の替わりやすい天気でしたが、
光の加減で様々な表情の紅葉を眺めることができたと思います。

今回もたくさんの方々にご参加いただきまして、
本当にありがとうございました。




                                  ご案内 / らくたび代表・若村 亮
                          受付・添乗・文・写真 / らくたびレポーター・吉村 晋弥
  


Posted by らくたび  at 23:27Comments(0)大徳寺~鷹峯エリア

2009年04月19日

吉野太夫花供養と遅咲きの原谷苑&御室の桜



私が初めて原谷苑の名前を耳にしたのは、もう5年程前のことでしょうか?
「とにかく桜がすごくきれいだから行ってみるといいよ」と
何度も勧めていただき「今年こそは」とは思うものの、
ついつい行けない春を続けていました。

そして迎えた今年の春、「行きたい」という私の思いが通じたのでしょうか。
当初の年間計画には入っていなかった原谷苑へ行く京都さんぽが
いつの間にやら追加されているではありませんか!!

大喜びで参加した『吉野太夫花供養と遅咲きの原谷苑&御室の桜』の様子を
紹介しましょう。



集合はいつもより早めの10時に鷹峯の源光庵前です。
この日はお隣の 常照寺 で吉野太夫花供養が開かれるとあって
ここへ向かうバスも大混雑していました。

二代目吉野太夫は持って生まれた美貌に加え、人情厚く、芸能にも秀でた
江戸時代の伝説の名妓で、その魅力は当時の人々の憧れとなっていました。

そんな吉野太夫が眠る常照寺では毎年桜の咲くこの時期に
追善供養が行われるのですが、私達はそこへ向かう島原の太夫道中行列を
源光庵前の路上で見学しようというわけです。

10時20分に道路が封鎖されるとお付の女の子と傘持ちの男性を従えた
太夫さん の登場です。高下駄を地面に擦りながら足を八の字に出して歩く
「内八文字(うちはちもんじ)」と呼ばれる独特の歩き方で源光庵を出発。

あでやかな太夫さんの移動と共に待ち構えていた大勢のカメラマンも
大移動です。常照寺の門前は見物客でいっぱいでしたが、
私達は比較的のんびりと見学することができました。

そうそう、この太夫道中の様子はかわいい「忍者犬」も
見学していました(笑)



鷹峯 は桃山・江戸時代の芸術家である本阿弥光悦が移り住み工芸集落
(光悦村)を築いた地であり、光悦寺、常照寺といった
日蓮宗のお寺が並ぶ所です。 円成寺 (岩戸妙見宮)もその一つで、
平安時代に北方守護として信仰されていた妙見菩薩をお祀りするお寺
として江戸時代に本満寺の日任上人により再興されました。

紅葉の隠れ名所ということですが、この日は新緑がまぶしい境内に
ウグイスの声が響きわたっていました。

さて続いては 原谷苑へと向かいます。途中の長坂口は周山を経て
若狭に抜ける街道口でかつては鯖街道と並ぶメインルートだったそうです。
「ここから原谷苑まで約2キロ 30分」の看板が出ています。
さぁ、頑張りましょう。

道沿いには細い川が流れていて、立てられた看板を見ると
「天神川」と書かれていました。
へぇ~、こんな所から続いていたんですね。



北山杉がきれいに並ぶ道を抜け、コンビニでお弁当の買出しをし……
ついに 原谷苑 に到着です。

原谷苑といえば入苑料が「時価」、つまりその時の花の開花状況に
よって変動することでちょっと有名な所です。
最高では1,500円位になるそうですが、この日の入苑料は800円。

「これって花の見頃は過ぎてるってこと?」と思ったのですが、
中に入ってびっくり!!苑内には八重枝垂桜、醍醐桜、御室桜、
御衣黄、普賢像などの桜を中心に、山吹、雪柳、ボケ、芍薬、
石楠花、ミツマタ、利休梅、ドウタンツツジ……
などなどが咲き乱れまさに百花繚乱!

青空に映えてとても美しい花々を堪能することができました。



お昼を過ぎちょうどお腹も空いてきたところで次に向かったのが
宇多天皇陵 です。

宇多天皇は平安中期に菅原道真を起用し藤原氏を抑えて
安定した国づくりをした第59代の天皇です。

そんな宇多天皇が眠っておられる御陵の前をちょっと拝借し
お弁当タイムとなりました。
この日は大変暑かったのですが(最高気温:27度)
木々に囲まれた天皇陵は涼しく、しばしほっこり……

ここから下山する道からは洛西方面をきれいに見渡すことができました。



そして最後に到着したのが先程の宇多天皇が創建された 仁和寺 です。
世界文化遺産にも登録されており国宝・重文の建造物や寺宝も
数多くありますが、この日のお目当ては御室桜。

境内にある約200本の桜は遅咲きの桜として昔も今も変わらず
愛されています。
遅咲きなので本来ならばこの頃に満開になるずなのですが、
4月に入ってからの気温上昇に桜もちょっと勘違いしてしまったのか(?)
残念、散ってしまって見られない……(涙)

と思っていたら、ありました、ありました!1本だけなのですが
満開の桜が!わぁ~、という歓声と共に今年最後のお花見です。



ここでこの日の京都さんぽは終了。
この御室桜が今年の見納めとなったわけなのですが、
寂しい気持ちと共になんだかホッとした気持ちもありました。

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし
  『古今和歌集』在原業平
 

(世の中に桜がなければ、春に「桜はいつ咲くのか?」
「風雨で散ってしまわないか」と心乱されることはないだろうに……)      

これは以前らくたび京都講座で教えていただいた歌ですが、
知らず知らずの間に私もこの心境だったのでしょうね。
3月15日の京都さんぽで見た安倍晴明のお墓前の桜に始まり
この日までの1ヵ月。早い開花宣言にヒヤヒヤし、桜だよりや
週間天気予報をチェックしてはどこに行こうかと思案し、
雨が降れば心配し、気温が上がればこれまた心配し…… 
そんな毎日を送っていました。
でもそれがとっても幸せな1ヵ月間でもありました。

ここまで私を楽しませてくれた桜とそんな桜を守り育てていらっしゃる方々、
一緒に楽しんで下さったらくたび仲間さん、スタッフさん、
ありがとうございました。
来年もハラハラ・ドキドキの「全然穏やかじゃない春」を過ごしたいものです。


文/らくたび会員 森明子様  写真/らくたび会員 奥村成美様


  


Posted by らくたび  at 11:07Comments(0)大徳寺~鷹峯エリア

2008年11月23日

紅葉の芸術 鷹峯の源光庵と洛北散策



まだ見ぬ紅葉の美しさを堪能できるとあって、大徳寺の門前に集合した
参加者の皆様の表情もいつもより楽しそうに見えます。

集合した 大徳寺 は七堂伽藍を完備。さらに塔頭を22ヶ所も有する
非常に立派な臨済宗のお寺です。
しかし、今回は金毛閣前で簡単に説明を終え足早に今宮神社へ。



今宮神社 は、平安初期に疫病を鎮めるため疫神を祀ったのに由来する神社です。
現在の社殿は明治35年に再建されましたが、風格を十分に感じることができます。

今宮神社の境内には「阿呆賢さん」という不思議な石があります。
手のひらで三度叩いて持ち上げると重くなり、次に願いを込めて
三度撫でて持ち上げ軽くなれば願いが叶うと言います。早速皆さん列を
つくって試していました。軽くなれば良いですがさてさて結果は・・・・・・



今宮神社を後にした一行は鷹峯へ向けて歩を進めます。途中、豊臣秀吉が建造した
という 御土居跡 を見学。北野天満宮付近や廬山寺にも見ることができます。
御土居は「京廻ノ堤(きょうまわりのつつみ)」とも呼ばれていたそうです。

そう言えば今年の京都さんぽでは何度か御土居を見学しているような。
これも秀吉好きの山村さんの企みでしょうか。



続いて訪れたのは しょうざん です。しょうざんは洛北の紙屋川沿いに造られた
広大な庭園です。庭園は北庭と南庭があり、一行が訪れた南庭では
紙屋川付近の紅葉の色づきが進んでおり北山杉の緑と重なって
幻想的な雰囲気でした。



しょうざんを通り抜け 源光庵 を訪れる前に 吟松寺円成寺 に寄り道です。
この2寺は観光寺院ではないので滅多に訪れることはありません。
そこを訪れるのが京都さんぽの凄いところです。

吟松寺は境内に入れませんが、坂の上からや入口から眺めることができ
十分紅葉を楽しむことができます。吟松寺では参加者全員で久々の記念撮影。



そして、いよいよ本日のメインである 源光庵 に到着です。すでに
山門の外まで人の行列が……これ程までに人が多いと思いませんでした。

源光庵の最大の見所は丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」でしょう。
悟りの窓は禅と円通を、迷いの窓は生死病死の四苦八苦を表しています。
窓の向こうには美しい庭園が広がっており、こぢんまりとした中にも
厳粛な雰囲気が漂っています。本堂には血天井と呼ばれる天井があります。
これは伏見城落城の時に鳥居元忠らが自刃した廊下の遺構で、
天井に上げてその霊を弔ったものだそうです。手や足形が
はっきりと残っています。

本日の京都さんぽは、この源光庵で終了です。解散後、各自光悦寺や
常照寺を訪れました。私は隣の常照寺を訪れました。
こちらは源光庵に比べ人が随分と少なかったです。
おかげで吉野太夫が寄進した赤門にかかる紅葉や庭園の散紅葉を
傾く夕日とともにゆっくりと堪能することができました。

今回は天気も非常によく心おきなく洛北の紅葉を楽しむ事ができました。
参加者の皆様、スタッフの皆様お疲れ様でした!!


文/らくたび会員 森田和宏様  写真/らくたび会員 鴨田一美様

  


Posted by らくたび  at 11:32Comments(0)大徳寺~鷹峯エリア