2008年08月09日

真夏のナイトツアー

真夏のナイトツアー

夏、真っ盛り!2008年8月9日らくたび京都さんぽ「真夏のナイトツアー」
が開催されました。京都は長い歴史の中で数々の伝説が生まれ、
街のあちらこちらに霊が鎮まる魔界都市。
普段とは一味違った京都の姿を探して南座前を出発です。

しかし・・・・・・

出発時間の直前からの雨、風、雷。
これは私達の散策を阻もうとする何物かの仕業か!? 

もちろん、現代なら気象庁が雨の降る仕組みを科学的に解説して
くれますが、平安京当時はそんな仕組みは解明しておらず、
「大雨が続く=雨を司る神様の怒り」と考えられていました。

真夏のナイトツアー

最初に訪れたのは、そんな考えがお寺の歴史の中にみられる、
仲源寺 (通称:目疾地蔵)です。そもそもの歴史は仏師定朝が
地蔵菩薩を奉ったことに始まります。
後に洪水の時に止雨の祈願をしたところ雨が止んだことから、
「雨止地蔵(あめやみじぞう)」と呼ばれていたのですが、
ある時、「眼病を代わりに引き受けてくれた」という話から
「目疾地蔵(めやみじぞう)」となり、現在でも眼病治癒の信仰が
続いています。

そう聞いてよく見てみると、ご本尊のお地蔵様は
確かに右眼が赤いような……この時もまだ雨は降り続いていたので、
ここでは本来の「止雨祈願」。
さて、願いは届くでしょうか……?

真夏のナイトツアー

仲源寺を後にした一行は京都五花街の一つ、 宮川町 へ到着しました。

ここ宮川町は “祇園祭のお神輿を洗うお宮さんの川” の
ほとりにできたことから宮川町と名付けられました。
出発前からの雨のおかげで、打ち水をした後のような
しっとり感があり、町並みが一層きれいに見えました。

ここでふと気が付くと、先ほどの雨も止んでいます。
仲源寺での止雨祈願が届いたようです。

続いて、恵比須神社、摩利支尊天、建仁寺、祇園甲部歌舞練場、
女紅場学園などを巡った後、 崇徳天皇御廟 へ到着しました。

崇徳天皇は鳥羽天皇の第一皇子でありながら保元の乱により
讃岐に流され、無念の中で崩御されました。
しかし、その後、都に続いた災いが怨霊に違いないと
考えられたことから、 “崇徳” とうやうやしい追号が贈られ、
この地に遺髪を納め弔っているそうです。

京都は崇徳天皇の他にも早良親王、菅原道真など怨霊を祭る神社が
多くありますので、 “怨霊に守られた都” であるわけです。
ちょっと不思議な感覚ですね。

真夏のナイトツアー

次に向かった 安井金比羅宮 は縁切りの神社。人の縁に限らず、
病気や悪い出来事との縁を切り、良縁を結ぶ、そんな願いをかけて
くぐるのが境内にある “縁切り・縁結び碑” です。

私自身、特に悪縁に困ってはいないのですが(?!)、
らくたびレポーターとして身体を張ってどんなものかくぐってみました。
結構、狭いです……最近あまり身をかがめる事もなかったので、
少々きつかったなぁ。

真夏のナイトツアー

夏の暑い太陽も山に沈み、ようやくナイトツアーらしく
なってきたところで次に到着したのは 六道珍皇寺 (ろくどうちんのうじ)です。

平安時代前期に開かれたこのお寺は、平安京の東の葬送地、
鳥辺野(とりべの)に向かう道筋にあり、亡くなった方はこの辺りで
野辺送りをされていました。

そんなことから古来より、このお寺辺りをこの世とあの世の境である
「六道の辻」と呼び、お盆には先祖の霊(精霊)を迎えに行く
“お精霊迎え” の行事が始まったそうです。

また、小野篁(おのの たかむら)はこのお寺の境内にある井戸を
使って冥土に通い、閻魔大王に仕えていたという伝説も残っています。

お寺では閻魔大王像、小野篁像の公開があり、先祖の霊を呼ぶと言われる
“迎え鐘” にはたくさんの方が並んでおられました。ここで一旦解散し、
西福寺の前で再集合となったのですが……ここでまたもや雨、雷です。

真夏のナイトツアー

西福寺 では「壇林皇后九相図(だんりんこうごうくそうず)」「地獄絵図」が
この時期だけ公開されていました。九相図とはたとえ皇后のように
身分が高く美しくとも、人間は等しく死を迎え、
醜態をさらしながらやがて土にかえる、という生きるものの儚さを
表現するものです。
殺伐とした現代だからこそ、時には地獄や死を垣間見て、
自己を省みる必要があるように思いました。

真夏のナイトツアー

雨は相変わらず降り続いていましたが、六波羅を抜けて
五条坂陶器まつりに到着し、若宮八幡宮でこの日のツアーは
終了となりました。

実は私自身、 “怨霊・魔界” といった分野はかなり苦手で、
3年前にらくたびに入った時も「この分野にだけは興味は持たない」
と思っていました。
しかし、怨霊伝説もまた人々がそこに生きてきた証です。
科学が急速に進歩し、様々なことが実証される今の世の中にあっても、
目に見えないものに対して、恐れを抱いたり、敬いを表わしたりする
気持ちは失ってはいけないものなのでしょう。
そんな教えが日常の中で親しみと共に生きている、京都の違った一面を
ツアーを通して感じることができました。
これからは皆さんと一緒であれば(一人では絶対に嫌ですが)
魔界巡りもいいかな。

雨の降る中、参加者の皆さん、スタッフの皆さん、お疲れさまでした。


文/らくたび会員 森明子様



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Posted by らくたび  at 11:40 │Comments(0)五条~清水寺エリア

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