2009年09月06日

アサヒビール大山崎山荘美術館とサントリー山崎蒸留所



京都駅からJRで15分、大阪との府境に位置する京都府乙訓郡大山崎町は、
古くから交通の要所として栄え、万葉の歌にも詠まれた名水の里。

また「山崎の合戦」で名高い天王山を擁する歴史的価値の高い町です。
さらに……かつて私の祖母が住んでいた町でもあり、私にとっては
ホームタウンも同然。
この日のらくたび京都さんぽはそんな山崎周辺を散策しました。


出発はJR山崎駅。最初は 関大明神社 に向かいました。
ここは今でいう都道府県が「摂津国」「山城国」であった頃、
その境界の関所が設けられていたところです。のちに関所が廃止され、
その跡地に神社が創建されました。

といっても現在でもここが京都府と大阪府の境界で、この神社は大阪府。
らくたび京都さんぽ初の大阪進出です!!
この日の私たちは難なく“国境越え”ができましたが、
昔は都への出入口として重要な関所となっていました。
平安末期、平家一門もここを越えて西国へ都落ちをしたそうですが、
どんな気持ちでこの地を歩いたのでしょうか?
「もう二度と戻れない」覚悟か、「必ず戻ってくる」決心か・・・?
神社の横には「従是東山城国」の石標が立っていました。



大阪府に進出した一行は昔の面影が残る西国街道を西へと進み、
天王山の麓に建つ サントリー山崎蒸留所 へ到着しました。

今からさかのぼること80年あまり、現サントリーの創業者である
鳥井信治郎氏が日本初の国産ウイスキー製造に乗り出した
“日本ウイスキー誕生の地”です。

私が子供の頃、夏になると“サントリーまつり”というものがあり、
親族総出の大イベントとなっていた懐かしい記憶がよみがえってきました。
こちらの蒸留所見学は試飲もできるとあって大変人気があり、
休日は予約でいっぱいだとか。



ガイドさんの案内で見学がスタートしました。
説明によると、鳥井氏がここをウイスキーづくりの地として選んだ理由は
ズバリ“水”。桂川、宇治川、木津川が合流し、この3つの川の水温の違いから
絶えず霧が発生し、平野と盆地に挟まれた独特の地形からは清らかな水が
こんこんと湧き出るまさに理想郷だったからだそうです。

鳥井氏はここで「日本人の繊細な味覚にあうウイスキーをつくりたい」と考え、
世界の蒸留所では見られない様々な創意工夫に取組んでこられました。
そのひとつがズラリを並んだ蒸留釜。釜の形や大きさを変えることで
ウイスキーの元となる原酒に多彩な香りや味が生まれるそうです。
へぇ~、職人技ですね。

そして見学後はお待ちかねの試飲タイム。「山崎12年」「白州12年」の
飲み比べを楽しみました。



この日の気温が高かったせいか、それともウイスキーで温まったためか……
かなり熱い中、再び「山城国」に戻り、離宮八幡宮を見学後、 妙喜庵 前に到着です。

こちらには茶道を究めた千利休が創作した茶室・待庵(たいあん)が現存し
国宝にも指定されています。利休もこの茶室で山崎の名水を使って
お茶を点てていたのですね。

ちょっと余談ですが……私が子供の頃大好きだったメニューに
「山崎のおばあちゃんの家で食べるおうどん」というものがありました。
沸かしたお湯に粉末のうどんスープを溶かし、麺を入れただけの
シンプルなものなのですが、同じものを京都市内の我が家で作っても
明らかにおいしさが違ったのです。
祖母いわく「山崎は水がおいしいから」。利休のお茶と私のうどん体験。
まったく異なるようですが、どちらもシンプルなものだからこそ、
そこに水の違いが現れるのかもしれません。

ここからJRの線路越しに見えるのは天正10(1582)年
羽柴秀吉と明智光秀による天下制覇をかけた戦い「山崎の合戦」
の舞台となった天王山です。川と山に挟まれた特徴的な地形から
「天王山を制した軍が勝利する」と考えられ戦が繰り広げられました。

このことから「天王山」という言葉が一世一代の大勝負の代名詞として
使われるようになったそうですが、この町から一つの日本語が生まれた……
よく考えたらすごいことですよね。



さて、サントリーの次はアサヒビール。芸術の秋にふれてみようと
アサヒビール大山崎山荘 へと向かいます。

この山荘はもとは大正から昭和にかけて活躍した実業家・加賀正太郎氏の
別荘として建築されました。その後、時代の流れとともに
荒廃が著しかったものを平成になってアサヒビールの当時の社長
(アサヒスーパードライがヒットした時の社長さんだそうです)
により修復整備が行われ、現在では安藤忠雄設計の新館と合わせて
美術館として公開されています。

加賀氏は若き日に訪れたイギリスで眺めたテムズ川の流れの記憶から
ここ大山崎を山荘建設地に選んだそうです。敷地内に自ら設計した別荘の
建築状況を見るための塔まで造ったこだわりよう。
美術館を鑑賞した後で立ち寄った喫茶室のテラスには
当時と変わらない壮大な風景が広がっていました。



ここで京都さんぽは終了となりましたが、この日の散策を通して
山崎の地形、気候、地下水といったあるがままの自然が
いかに重要な役割を果たしてきたのかを知ることができました。

また子供の頃と今では同じ場所に立っても見えるものが
随分と違うことも新たな発見でした。
「もう何回も行っているし」とわかったつもりになるのではなく、
これからも現場に足を運ぶことで、その時、その時に感じることを
大切にしていきたいなぁ……と思いました。


文/らくたび会員 森明子様  写真/らくたび会員 鴨田一美様




タグ :京都大山崎

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Posted by らくたび  at 11:06 │Comments(0)その他

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